TechInsider AI論文解説
Prompt Engineering
「推論」はもう不要? プロンプトを2回繰り返すだけで LLMの性能が爆上がりする件
2025.12.27 5分で読めます
この記事の要点(TL;DR)
- 最新論文により、プロンプトを単に2回繰り返すだけでGeminiやGPTの回答精度が向上することが判明。
- CoT(思考の連鎖)を使わないため、コスト(出力トークン)も待ち時間(レイテンシ)も増えない。
- 因果的モデル(GPT)で、擬似的に双方向モデル(BERT)のような「深い文脈理解」を強制するハック手法。
1 CoT(思考の連鎖)のジレンマ
「LLMの精度を上げたいなら、『ステップバイステップで考えて』と指示しろ」。これはプロンプトエンジニアリングの常識でした。 しかし、APIを利用してアプリケーションを開発するエンジニアにとって、これは**「コスト」と「速度」のトレードオフ**を意味します。
CoTありの場合
「答えはAです。なぜなら〜」と思考過程を出力するため、トークン課金が増え、レスポンスも遅い。
今回の手法
「答えはAです。」と即答させるが、精度は高い。安くて速い。
今回紹介する論文「Prompt Repetition Improves Non-Reasoning LLMs」は、このジレンマを解決する驚くべき発見を報告しています。
2 魔法の呪文「」
手法は拍子抜けするほど簡単です。LLMに入力するプロンプト(質問)を、ただ2回繰り返して送信するだけです。
Input Prompt Example Copy
`<コンテキスト>
以下の文章を読んで質問に答えてください...(文章)...
<質問>
この文章の結論は何ですか?
<コンテキスト(繰り返し)>
以下の文章を読んで質問に答えてください...(文章)...
<質問(繰り返し)>
この文章の結論は何ですか?`
推論(Reasoning)モードを使わず、この「繰り返しプロンプト」を入力するだけで、Gemini、GPT-4o、Claude、DeepSeekといった主要モデルすべてでパフォーマンスが向上することが確認されました。
3 なぜこれだけで賢くなるのか?
「2回言われるとよく分かる」というのは人間と同じですが、LLMの場合はより技術的な理由があります。それは「因果的注意機構(Causal Attention)」のハックです。
💡 技術的解説:擬似的な双方向エンコーダ化
現在のLLM(GPTなど)は、原則として「前の単語」しか見ることができません(Causal Masking)。
しかし、入力を2回繰り返すとどうなるでしょうか?
1回目のクエリ処理
未来が見えない(片方向)
2回目のクエリ処理
1回目の全内容が見える!
(実質、双方向)
これにより、モデルは推論時間をかけずに、BERTのような「文章全体を俯瞰した深い理解」を強制的に獲得できるのです。
4 Pythonユーザーへの福音
Web版のChatGPTやGeminiを使っている場合、すでに裏側でこのような最適化が行われている(あるいは今後実装される)可能性があります。 しかし、PythonなどでAPIを直接叩いている開発者にとっては、この手法は即戦力です。
-
コスト削減
入力トークンは増えますが、高価な出力トークンは最小限(回答のみ)で済みます。 * #### 超低レイテンシ
「プレフィル(入力処理)」は並列処理されるため、入力が倍になっても待ち時間はほぼ変わりません。
まとめ:明日から使える「無料のパワーアップ」
「複雑な推論はさせたくないが、精度は落としたくない」。
そんなワガママな要件があるときは、迷わずプロンプトをループさせてみてください。
LLMは2度聞かれると、私たちが思う以上に深く理解してくれます。
© 2025 TechInsider Blog. Based on the research "Prompt Repetition Improves Non-Reasoning LLMs".
※本記事は論文内容の解説であり、特定の手法による利益を保証するものではありません。